2012年5月 7日 (月)

ウィークエンド・ラブ

Photo 「遊びのうちは楽しむのもいいが、真剣になったら別れろ」
不倫をしていることが友人にバレて、主人公が忠告される時の台詞。

名画座を追いかけて何度も観たくなる映画がある。この作品もその1本。
「ウィークエンド・ラブ」は、幸福な家庭を持ちながら、家族と愛人の間を行ったり来たりする男と、キャリアウーマンのバツイチ女との逢瀬を描いた傑作ラブコメディ。
度重なる偶然に運命を感じて出会ったふたりは週末のバカンスにスペインのマラガへ出かける。
しかし、旅先ではお互いの主張をぶつけ合ってケンカばかり。
旅から戻ったふたりは、逢いたいときに逢い相手の私生活に干渉しない、というルールを決め、逢びき用のアパートを借りて二重生活をはじめる。
劇中、不倫するふたりが不倫映画の傑作「逢びき」を観て涙するシーンがあって笑ってしまう。
大人の恋の悲喜こもごもをコメディとして引っ張っていきながら、ラストは切なくほろ苦く、見るものの胸に何かをのこして映画は終わる。
偶然の出会いから始まる大人の恋を、説得力のある語り口で展開していくメルヴィン・フランクの手腕は見事である。
主演のグレンダ・ジャクソンはアカデミー賞の主演女優賞を獲り、作品・脚本・作曲賞などにもノミネートされたが、現在までビデオもDVDも出ていない。
以前、この作品をテレビ録画している人をネットで知り、メールを出してその方にコピーをいただいたときはうれしかった。
その後、アメリカ版のDVDが発売されたので、字幕はないけど今でも時々観ている。

監督:メルヴィン・フランク
公開:1974年
宣伝:笑って別れるはずだった…。何も失わないはずだった…。
     虹がひとつ消えて行く。しゃれた都会の味がします。
     粋な大人の香りがします。 

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2012年4月29日 (日)

バーフライ

Photo 「安心しな、今まで俺を愛した女なんていやしない」
恋とは無縁と思って生きている薄汚いアル中男(ミッキー・ローク)が、孤独なアル中女(フェイ・ダナウェイ)に出会ったときに言う台詞。
男は酒に酔い潰れ、つまらない喧嘩を繰り返し、女も酒におぼれ、人生に幻滅を抱いて生きている。
他人と人生を共にすることを拒否してきた二人が場末のバーで出会う。
社会から孤立し、酒だけを友として生きてきた二人は、愛に傷つくことを恐れながら、いつしか恋に落ちる。
「バーフライ」は、恋愛映画だがロマンティックな作品ではない。
しかし、不器用に愛しあう二人の姿には観る者を惹きつける何かがある。
二人は、酒の力を借りて、傷つきやすく、やさしすぎる自分の心を護っているのだろう。
こんな男女の愛を描いた作品、なかなか作れないだろと思う。

監督: バーベット・シュローダー 
公開: 1988年

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2012年4月23日 (月)

100歳の映画監督 新藤兼人

Photo 現役の映画監督、新藤兼人が4月22日、100歳の誕生日を迎えた。
もちろん国内最高齢の映画監督。
昨年公開の「一枚のハガキ」は未見だが、キネ旬のベストワンになっている。
100歳まで映画を作り続ける情熱や精神力には驚愕する。
ただただ脱帽である。
新藤兼人は、監督作は40本ぐらいだと思うが、手がけた脚本は300本以上はあるだろう。
30年ぐらい前に、撮影所で雪駄を履いて早足で歩く新藤兼人の姿を何度か見かけた。
あぁ、また新作を撮ってるんだな、元気だな、と思いながらその姿を目で追ったりしていた。
その頃すでに70歳ぐらいだったんだろう。
僕が初めて観た新藤作品は「愛妻物語」だった。
若きシナリオライターの生活を描いた自伝的作品で、妻に対する純愛物語に率直に感動した覚えがある。
2本目が代表作の「裸の島」だ。
この作品は、孤島に生きる家族の姿を、一切の台詞を排してドキュメンタリーのように描いた作品で、ストイックなまでの演出スタイルに息をのんだ。
僕が一番好きな作品は「午後の遺言状」で、避暑に訪れた老女優のひと夏のできごとの中に、人間が生きること、老いることを描いていた。
杉村春子と乙羽信子の演技が味わい深かった。
脚本で印象深いのが「しとやかな獣」だ。
全員が金の亡者という不思議な家族を、団地の一室を舞台に膨大な台詞の応酬で描いたブラックなテイストの作品。
他にも観ていない作品がたくさんあるので、これを機会に新藤作品を観てみたい。

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2012年4月14日 (土)

ブロードウェイと銃弾

Photo_5 「僕はアーティストだ」
オープニングで語られる若い劇作家(ジョン・キューザック)のモノローグ。
「ブロードウェイと銃弾」は、芸術性と商業性のはざまで葛藤する若い劇作家の姿を描いた作品。
主人公の劇作家が書いた戯曲が、ギャングのボスの手によってブロードウェイで舞台化されることになる。
それには条件があり、ボスの愛人のショーガールを芝居に起用しなければならないのだ。
そして、主演女優をめぐる三角関係や、脚本の書き直し、殺人事件など、上演までに降りかかる様々な問題が劇作家を悩ませる。
また、ショーガールのボディガードとしてリハーサルに立ち会うギャングのほうが、自分よりも芝居のことを良く理解していて劇作の才能があることがわかってくる。
「アーティスト」だと言い切っても、上演のためにショーガールを起用することに妥協した劇作家は、自分が真の「アーティスト」ではないことに気付いていく。
芸術家になることを夢見たことがある人は、この作品に深く共鳴し、苦い思いを味わうだろう。
コメディとシリアス、重さと軽さのバランスが実に絶妙で、ウディ・アレンの映画作りの才能には驚くばかりだ。

監督:ウディ・アレン
公開:1995年

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2012年4月 7日 (土)

ラジオ・デイズ

Photo フェリーニの作品に「アマルコルド」という作品がある。
自分の少年時代の思い出をノスタルジックなエピソードで構成したものだ。
「ラジオ・デイズ」は、ウディの「アマルコルド」であろう。
テレビの普及していなかった時代、唯一の娯楽であるラジオを楽しむ家族の様子や、ラジオ放送に関するさまざまなエピソードが積み上げられて一本の映画になっている。
ウディは、中心となる物語を設定せず、自伝的な個々のエピソードを重ねながら少年時代の何気ない日常をセンチメンタルに描いている。
時代とともに忘れ去れてしまう過ぎ去りし日の美しい思い出というのは、観ていて心が安らぐものだ。
ウディ・アレンの作品が苦手な人も、この作品は楽しめるのではないだろうか。
ラジオ業界の人々が集まるニューイヤー・パーティのシーンが素晴らしい。
新しい時代を迎える喜びの中に、古きよき時代が過ぎ去っていくことのもの悲しさが同時に描かれていて、なんとも言えない余韻が残る。

監督:ウディ・アレン
公開:1987年
宣伝:宇宙人襲来も第二次大戦も怖くなかった。
   ラジオと暮らした、あの懐かしい日々。

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